「日滝原」をはじめ和食に合うワインが国内外で高く評価されている「楠わいなりー」(長野県須坂市)。 同ワイナリーが日本で初めて白ワインブドウ品種「ヴェルメンティーノ」を栽培し、「和食に最適な白ワイン造り」に挑戦しています。2年前から苗木の輸入、圃場への定植を始め、今後3年程をかけ長野の気候に合った栽培・熟成・醸造を行う野心的な取り組み。
本プロジェクトではそのための資金を募ります。 貴重なワイン造りのプロセスに関わり、もっともっとワインを好きになる。そんな体験機会にあなたも参加しませんか?
なぜ「ヴェルメンティーノ」を初めて日本で栽培するのか?
その地で楠わいなりーは、ドメーヌスタイルで、ピノ・ノワール、カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、メルロー、シャルドネ、セミヨン、ソーヴィニヨン・ブラン、リースリングなど多様なワインブドウ品種の栽培から、ワインの醸造、熟成、瓶詰めまでを行っています。楠わいなりーのワインはこれまでその品質において高い評価を得てきました。
シャルドネ2009とメルロー2011は、長野県原産地呼称認定委員会において審査員奨励賞を受賞。
長野県原産地呼称認定は、その品質が世界標準であると認められたワインに授与され、特に品質が優れているものに対しては特別に審査員奨励賞が与えられていました。
楠わいなりーは、これまで赤ワインと白ワインの両方で受賞しています。
(長野県原産地呼称管理制度は、日本酒・ワインにおいては2021年以降「GI長野」へ移行しています)2012年には、長野県による長野ワイン振興プロジェクトのお披露目会において「ピノ・ノワール2009」が、また2016年には軽井沢で開催された G7交通大臣会議の歓迎レセプションのワインとして「シャルドネ2014樽熟成」が採用されました。
2018年にはマスター・オブ・ワインの第9回国際シンポジウム(スペイン、リオハ)で招待講演を行うなど世界的にも注目されており、サクラアワード、デカンター、インターナショナル・ワイン・チャレンジなどでは毎年受賞をしています。
(受賞歴の一覧を本ページ下部に掲載しています。ご覧ください)
今回新たに栽培に取り組む「ヴェルメンティーノ」は、イタリア・サルデーニャ島やフランス・コルシカ島など地中海周辺を中心に、アメリカ・カリフォルニア州などでも栽培されている白ブドウ品種で、暑く乾燥した気候の下で育つため、爽やかさと共に厚みを感じさせる風味が特徴です。
これまでの産地でつくられたヴェルメンティーノによる白ワインは一般的に魚介類との相性が抜群と評価されてきました。
「和食に合う日本オリジナルの白ワインを造りたい」(楠さん)
日本で初めてヴェルメンティーノの白ワイン造りに挑む楠わいなりー代表の楠茂幸さんは、その理由を熱く語ります。
「世界中で、健康的で栄養のバランスに優れた和食が大人気です。その和食に良く合う白ワインを、ヴェルメンティーノで造りたい! 日本ではまだ誰ひとり造ったことのない白ワインを、長野県須坂発で造りたいのです!」。
2013年12月に和食(WASHOKU)がユネスコ無形文化遺産に登録されてから10年強。
世界から注目されている和食のそばに、いつも日本の白ワインを。
それが楠さんをヴェルメンティーノ栽培に挑ませる原動力です。
楠わいなりーでは「和食に良く合うワイン」をコンセプトに、特に新鮮な海産物にあう白ワインを追求して、ブドウ栽培から一貫したワイン造りに挑んでいます。中でも試行錯誤を繰り返して生まれたセミヨンとソーヴィニォン・ブランのブレンドによる白ワイン「日滝原」は、お刺身やお寿司をはじめ海産物との相性が抜群に良く、もちろんそれ以外の日本料理全般にも非常に良く合うことから、各方面で「和食にはこれだね」と高くご評価いただくようになっています。そこで、2004年からのブドウ栽培、そして2011年の自社ワイナリー設立から10年を経て、新たに「和食に合うワイン第2弾」として、地中海地方で楽しまれている「ヴェルメンティーノ」を造りたいとの思いが膨らみました。
仏ニースなどで飲んだ「ヴェルメンティーノ」がずっと心に残っており、いつかは挑戦したいと考えていた品種でした。
ただ長野県には海が無く、海から遠い山の中で栽培しても良いものか、随分と悩んでもおりました。しかしながら、近年「アルバリーニョ」や「プチ・マンサン」がオリジナルとは気候も土壌も違う日本で育てられ、本場の品質に比肩するか凌ぐのではと思われる高品質なワインが造られています。
そんな事実に勇気を得て、まだ日本では栽培実績がありませんが、魚介料理との相性がとても良いと認識されている「ヴェルメンティーノ」を造ろう!と決意しました。
2022年に思いを同じくする3名で正式にアメリカのナーセリーから苗木を輸入し、農林水産省のつくば隔離圃場にて1年間の隔離栽培を経た後、検疫をパスして自社農場に植えて剪定枝が採れるようになるまで育てました。
その後、信頼できる国内のナーセリーで接ぎ木をして養生してもらいました。接ぎ木苗が完成し戻ってきたその数はおよそ300本! その数を聞いて驚きました。ほぼ100%に近い活着率だったのです。ナーセリーの方も「こんな事は始めてです」と驚かれていました。輸入検疫対象のウイルスには感染していなかったことに加えて、健全に育ってくれたからこその奇跡。
そして2025年春、須坂市日滝原にある日当たりの良い、また水はけの大変良い自社農場に定植してその後順調に育っています。
(以下ヴェルメンティーノ畑の写真は本年8月撮影)
2027年にはブドウの収穫ができて日本産初のヴェルメンティーノのファースト・ビンテージ・ワインが完成する予定です。数年すると、きっとふくよかでいながら優しく、シーフードをはじめとする料理を引き立ててくれるワインが誕生する!と期待に胸を膨らませています。
そんな「日本のヴェルメンティーノを造りたい」という思いに共感していただける方にお願いです。
苗木(穂木)の輸入、栽培、接ぎ木、圃場整備、育成、ワイン醸造には膨大な費用が掛かります(既に掛かっています)。これらの費用を賄うために今回のクラウドファンディングを行うことにしました。
一緒に「日本初のヴェルメンティーノによる白ワイン」を造る挑戦に参加していただけませんか。新ワインが誕生した時に、「実はあれ、私が応援してできたんだよ」と感慨を分かち合いましょう。
気候変動で長野もより高温に
一方で、楠さんはここ数年の気候の変化も注視しています。
「2023年の夏は高温の日が続き、少雨だったため、とても高品質なぶどうが収穫されたヴィンテージとなりました。
ただし今後もこの傾向が続いてもっと気温が上昇していけば、これまでの品種・栽培方法では対応できなくなる恐れもあります。
ヴェルメンティーノはそもそも暑い地域で作られている品種でもあり、もしかしたら高温化が進む日本で適性を発揮するかもしれない、そんな可能性も考えられます。」
気温の高い地域で栽培されてきたヴェルメンティーノという初めての品種栽培への取り組みは、楠さんが考える気候変動リスクに対する一つの対応策でもあるのです。