
「これ、捨てられちゃうものなの? もったいないね」
おから味噌づくり教室で、ある子がポツリとつぶやきました。
手元にあるのは、お豆腐を作る過程で生まれる「おから」。
私たちは思わず顔を見合わせました。
子どもは時々、大人が見落としていることを教えてくれます。
栄養豊富な食材です。しかし、その多くが十分に活用されず、飼料や肥料として利用されたり、廃棄されたりしています。
けれど、おからに麹(こうじ)と塩を混ぜ、時間をかけて発酵させることで、味わい深い「おから味噌」へと生まれ変わります。
「もったいないね」
「お味噌になるなんてすごい!」
そんな子どもたちの声が教室に広がります。
仕込んだお味噌を持ち帰った子どもたちからは、
「色が前と違う!」
「お味噌の匂いが変わってきた!」
「生きているみたい!」
そんな声が届きます。
私たちが届けたいのは、味噌づくりの技術だけではありません。
身近な食べ物の中にある知恵や循環に気づき、自分の目で見て、自分の手で触れ、心が動く体験です。
今回のプロジェクトでは、300人の子どもたちへ「おから味噌づくり体験」を届けるための費用を募ります。
子どもたちの
「もったいないね」
という気づきが、
「おいしいね」
という感動につながるように。
そして、その体験が未来へつながっていきますように。
皆さまのお力をお借りできましたら幸いです。
ストーリー
私たちは誰か
私たち和食文化伝承会は、農林水産省から認定された和食文化継承リーダーを中心に活動しています。
ユネスコ無形文化遺産に登録された和食文化を、体験を通して次の世代へ伝える活動を全国で行っています。
とはいえ、私たち自身も最初から和食文化を十分に実践できていたわけではありません。
あるメンバーは、日々の忙しさに追われ、だしも顆粒だしに頼ることが多く、「便利だから仕方ない」と思っていました。
そんな中、改めて和食文化について学び、丁寧にだしを取った茶碗蒸しを孫に食べてもらった時のことです。
ひと口食べた孫は、
「おいしい!」
と目を輝かせました。
その一言が心に残りました。
忙しさの中で後回しにしていたものの中に、子どもたちへ手渡したい大切な文化があったのではないか。
そんな思いが、私たちの活動の原点の一つになっています。
私たちは、完璧な和食を伝えるため「昔ながらの丁寧な暮らしを実践しましょう」としているわけではありません。
「発酵って面白いね」
「お味噌ってこうやってできるんだ」
「もったいないって大切なんだね」
そんな小さな気づきや感動を、体験を通して届けたいと思っています。
和食文化は、特別な場所だけにあるものではありません。
毎日の食卓の中に息づく、日本人の知恵と心です。
私たちは、その魅力を次の世代へ手渡していく活動を続けています。

なぜ今、この活動が必要なのか
〜誰が悪いわけでもない、けれど置き忘れてきたもの〜
活動を続ける中で、私たちは多くの「驚き」と出会ってきました。
「おからって何ですか?」
講座の中で、そんな質問を受けたことがあります。
「だしを飲んだことがない」
「お味噌は買うものだと思っていた」
という子どもたちも少なくありません。
最初は私たちも驚きました。
けれど、それは誰かが悪いわけではありません。
共働き家庭が増え、忙しい毎日を送る中で、家庭の中だけで和食文化を伝えていくことは難しくなっています。
便利な調味料や加工食品のおかげで、忙しい日々の食卓は支えられています。
その一方で、昔は家庭の中で自然に受け継がれていた
だしの香りを感じること
旬を味わうこと
食べ物ができるまでの時間を知ること。
そうした体験に触れる機会は少しずつ減っているように感じます。
私たちは、それを「失われた文化」とは思っていません。
ただ、出会う機会が少なくなっただけだと思っています。
だからこそ、学校や学童、地域の活動の中で、その体験を届ける場が必要だと感じています。
「知らない」ことは恥ずかしいことではありません。
ただ「知る機会」がなかっただけ。
私たちは、子どもたちが和食文化に出会う最初のきっかけを届けたいと願っています。








