縄文文化が息づく青森で、世界一の登り窯に炎を。 世界最長103メートルの登り窯 初火入れプロジェクト

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経塚壺

このプロジェクトについて

青森県黒石市に世界最長の登り窯が完成しました。ギネス世界記録にも認定され、103メートル(52部屋)の窯を使って作品を焼成し、はるか1000年先の未来へと器を残す壮大なプロジェクトです。今回はこの窯の初火入れとなります。

 

 

青森県に世界一の登り窯ができるまで

今から49年前、陶工 今井理桂氏が平安時代に作られた常滑の経塚壺(きょうづかつぼ)に魅了され、陶芸の道に入りました。作り手の名を失ってもなお感動を生む古陶の素晴らしさに、稲妻に打たれたような衝撃を受け、何とか自らの手でこのような作品を作れないかと、ほとんど独学で作陶研究の日々を送っていました。

その試行錯誤の中で、作為的に釉薬をかけ、電気やガスの窯で焼成したものでは、1000年経っても人を感動させることは難しいと考えるようになり、たどり着いたのが平安時代の壺と同じ製法、土と水と木と炎だけで作る自然の器「 自然釉(しぜんゆう)」です。

自然釉は作為的に彩色せず、色合いを全て自然に委ねるため、陶工の想定通りに焼き上げるのが極めて難しい製法ですが、時に人が創り出すことができないような神秘的な景色をもたらします。この自然釉を極めるためには焚くための「 」と、自然釉の素となる「」が重要な要素であり、より適した窯、適した薪の探求もまた続けられました。

経塚壺 豊かな表情をみせる自然釉の壺

壮大な登り窯の実験へ

昭和58年、栃木県足利市で70メートルの大登り窯を築窯し焼成するという挑戦が始まりました。登り窯に適した傾斜面を無償で貸してくださる協力者が現れ、5年間で斜面の造成から小屋掛け、築窯、作品制作、薪の準備、焼成、窯出し、出資者への作品の頒布までをやり遂げました。全長70メートルの大窯で焚くということの大変さを思い知ると同時に、薪窯焼成の可能性を確信する内容となりました。

経塚壺

掲載サイト:https://motion-gallery.net/projects/noborigama