現在(2025年5月)、日本国内のクラウドファンディングサイトは小規模のサイトも含むと150サイト以上存在しています。
その中から自分に適したクラウドファンディングサイトを選ぶのはなかなか難しい作業となります。
さらに、大手のクラウドファンディングサイトの中でも購入型、寄付型、ふるさと納税型、融資型・投資型、不動産型など細分化されており、年々選びにくさが増しているのが現状です。
自分が挑戦したいプロジェクトが一体どのタイプのクラウドファンディングが適しているのか、十分に理解してから取り組むことが重要です。
このページでは、これからクラウドファンディングに挑戦する方の一助になれるよう、入門編としてクラウドファンディングの基本的な知識をご紹介しています。
まず最初に知っておくべきキーワード!
クラウドファンディングの説明を進める前に、これからいっぱい耳にするだろうキーワードを3つ紹介しておきます。
- 起案者:クラファンで資金調達などを目指すプロジェクトの発案者のことを指し、資金援助を受ける側の個人や団体。
- 支援者:起案者が各クラファンサイトで公開しているプロジェクトに対し、資金を支援する側の人。
- リターン・返礼品:起案者のクラウドファンディングが成功した際などに支援者にお礼として渡す、商品やサービスなど。
様々なクラウドファンディングのタイプがありますが、まずは「起案者」「支援者」「リターン・返礼品」という3つのキーワードと役割を理解してください。
次に、クラウドファンディングの6つの種類を下記で紹介します。
クラウドファンディングには様々な目的を持って支援を募る人、
支援する人が集まりますが、運営サイトによってそのスタイルや種類も様々です。
クラウドファンディングには大きく分けて6つの種類のクラウドファンディングのタイプがあります。
- 購入型:リターン品を購入するタイプの支援方式
- 寄付型:支援者にリターンはない、募金型の支援方式
- ふるさと納税型:自治体ごとのプロジェクトに対し、ふるさと納税の仕組みを利用して支援する方式
- 融資型:融資を行うことで利子を得る支援方式
- 投資型:投資を行うことで分配金や株式を得る支援方式
- 不動産型:投資を行うことで不動産の賃貸収入や売却益から配当される支援方式
クラファン形式 | クラファンサイト | 内容 |
購入型 | ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() | 新商品開発、イベント開催、書籍出版など |
寄付型 | ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() | 社会貢献、エンタメ、芸術、災害復興支援など |
ふるさと納税型 | ![]() | 自治体ごとの特産品、課題解決、観光など |
融資・投資型 | ![]() ![]() ![]() | 事業拡大、運転資金の調達、ベンチャー企業の資金調達など |
不動産型 | ![]() ![]() ![]() ![]() | 不動産投資 |
購入型クラウドファンディング
ここ数年の日本のクラウドファンディングのトレンドはこの”購入型”です。
起案者がクラファンの概要・期限・目標額を発表し、支援者に支援を募ります。
支援者へのリターンとはその商品やサービスなど、金銭以外のリターンを設定します。ここが購入型の大きなポイントとなります。
また、購入型は“All or Nothing”と”All In”の2種類に分類されます。
◇All or Nothing型
ALL or Nothing型は目標金額を達成できた時に限り、その支援金を受け取ることができます。
それまでクラウドファンディングにかけた時間と労力が無駄になってしまう可能性があり、All in型と比べるとリスクが高いとされます。
◇All In型
目標金額を達成できても、未達で終わっても、そこまでに集まった支援金を受け取ることができる方式です。ただし、注意点は未達で終わっても必ずプロジェクトを実行、リターンがあれば実行しなくてはなりません。
そのため、支援総額が目標を大きく下回ってしまうと、予算不足でプロジェクトを実施しなければいけないことになります。
All or Nothing | All In方式 | |
資金調達の条件 | 目標達成した場合のみ | 目標未達成でも終了時点で集まった資金を受け取ることが可 |
リターン | 目標達成した場合のみ | 目標達成の可否に関わらず、リターン義務がある |
目標額が未達の場合 | そこまで寄付された金額は支援者に返金 | 目標未達成でも終了時点の調達額を受け取ることが可 |
メリット | ・目標未達の場合はリターンを履行しなくていよい。 ・目標未達の場合、プロジェクトを実行しなくてよい。 ・負債を抱えるリスクが低い。 ・マーケティングリサーチとしても有効。 | ・目標未達の場合でも支援額を受け取れる。 ・新商品・サービスの宣伝目的としても有効。 |
デメリット | 目標未達の場合、支援者をガッカリさせてしまう。 | ・目標達成の場合、必ずリターンを行う必要がある。 ・支援額に関わらずプロジェクトを実行する必要がある。 |
寄付型クラウドファンディング
寄付型のクラウドファンディングはその名の通り寄付となりますのでリターンなどお礼などは必要ありません。”募金”と一緒?と思われがちですが、支援者が該当クラファンページでお金の流れを把握できるという点では支援のしやすさが違います。
寄付型のクラウドファンディングの多くは、被災地支援や義援金、難民支援、中間支援のような社会貢献度の高いプロジェクトの場合に用いられます。
ふるさと納税型クラウドファンディング
ふるさと納税型クラウドファンディングとは、地域の自治体や認可された団体が起案者となり、地域の課題解決や取り組みなどをふるさと納税の仕組みを利用して支援するクラウドファンディングです。
また、ふるさと納税ならではの控除などに関しても、従来のふるさと納税と同じように申請することができます。
融資型クラウドファンディング
融資型のクラウドファンディングは、個人より企業向けのクラウドファンディングにおいて資金を集めたい起案者(企業)が支援者(投資家)から資金調達する方式のクラウドファンディングです。
支援者には募集開始された時点で定められている利率がリターン(利子)として支払われます。
投資型クラウドファンディング
投資型は”ファンド投資型”と”株式投資型”の2つの形式があります。
ファンド投資型 | 起案者のビジネスに対して出資を募ります。 支援者はそのビジネスの売り上げに応じて分配金を受け取りますが、通常の投資と同様、売り上げが下がれば収益は減ります。 |
株式投資型 | 支援者はリターンとして、支援した起案者(企業)の株式を受け取ります。 起案者(企業)がIPOやM&Aを検討している場合、支援者は大きなリターンを獲得することができます。 |
不動産型クラウドファンディング
2018年に不動産クラウドファンディングが世の中に出てきて、2024年は募集金額がなんと約1712億円、ファンド数は1000件に迫る勢いで増加、募集額の平均も約1.8億円まで拡大する、新しいスタイルのクラウドファンディングと言えます。
不動産クラウドファンディングには少額スタートできることや、物件管理が不要など良いところがある反面、基本的には利益が少なく大きく利益を獲得したい場合は従来の不動産投資のほうが利幅は大きいと考えられます。
もちろんクラウドファンディングに挑戦することは素晴らしいチャンスではありますが、前述した6つのクラウドファンディングのタイプによって良い部分、悪い部分があります。
クラウドファンディングのメリット・デメリットをしっかりと理解したうえで、クラウドファンディングを成功させあなたのビジネスに役立ててください。
ここでは、クラウドファンディングのタイプごとではなく、大まかにクラウドファンディングのメリット・デメリットについて列挙します。
メリット | デメリット |
誰でも挑戦できる | 審査がなかなか通らない場合がある |
返済義務がない | 目標未達の場合、返金が必要 |
失敗したら手数料など不要 | 成功したら手数料がかかる |
成功したら信用度が上がる | 失敗したらイメージダウンになる |
テストマーケティングができる | リターンがないため支援者が集まりにくい |
販売前に認知度が上がる | 競合他社に知られるリスクがある |
優良顧客との繋がりが見込める | 失敗したらファンが減る可能性がある |
失敗しても繰り返し挑戦可能 | 融資よりも手間がかかる |