在宅ケアの方にはオンラインで、病院や施設にはおもちゃコンサルタントの派遣で、医療的ケアが必要な子どもたちと家族に遊びで笑顔を届けたい!
東京おもちゃ美術館が病児の遊び支援を続ける理由
本来、子どもは遊びの天才です。2、3歳児が砂場での遊びに打ち込む姿や、人形やぬいぐるみとコミュニケーションをとる姿には、子どもならではの感性や想像力の豊かさがみなぎっています。学習と同様に、子どもにとっての「遊び」は多くの体験と経験を与えてくれます。
だからこそ、健康であるか否かによって遊びの量と質が著しく低下することは、一度しかない子ども時代を生きる幼児にとって、その後の成長に少なからず影響を与えることにもなりえるのです。
遊びの量と質の低下を最低限に食い止めるために、特に病児や障がい児に関わる私たちは配慮する必要があるのではないでしょうか。
今から35年ほど前に、国立小児病院の看護師を対象に手作りおもちゃの研修会を実施したことが芸術と遊び創造協会の「病児の遊び支援」の歴史の始まりとなりました。
そして、東京都清瀬小児病院での遊び支援ボランティア活動の開始をきっかけに、全国16ヵ所の小児病院での活動へとつながり、病院向け移動ミュージアム「ホスピタル・トイ・キャラバン」の展開や、今年度で19回目を迎える公開セミナー「病児の遊びとおもちゃケア」の開催など、活動の幅を広げました。
また2020年にコロナ禍に入った直後には、いち早く活動の場をオンラインへと切り替え、在宅ケアを必要とする子どもたちに「オンラインおもちゃの広場」を通して遊びを届け続けてまいりました。
芸術と遊び創造協会は、こうした社会的活動によって、どんな状況でも繋がり合うことの大切さと、遊びによる支援を持続可能な事業として止めないことの重要性など多くのことを学びました。
決してゴールのある活動ではありません。これまでの活動を振り返り、これからの10年へ向けて歩むことが出来ますよう、ご支援をいただきたく思います。
認定NPO法人 芸術と遊び創造協会 理事長
東京おもちゃ美術館 館長
多田 千尋