▶︎天空の芸術祭「フォレストアートフェスティバル in ラダック」
インド最北部ヒマラヤの一角にある「ラダック」。最後の桃源郷とも呼ばれる標高4500mの山の中腹で、ラダックの人々の暮らしを支える水の源である根雪が激減しているのを目撃しました。気候変動の影響のようです。
遠い地で起きていることは目に見えませんが、日本で暮らす私たちと地続きでもあります。その現状にうちひしがれるのではなく、別の未来を選択するための一歩として、“木を植えることからはじめる芸術祭”「フォレストアートフェスティバル」を天空の地、ラダックの人々と開催します。
▶︎フォレストアートフェスティバル はじまりのストーリー
「以前は夏でももっとたくさん雪があった。でも、どんどん根雪が減っているんだ」
標高4500mにあるマトー山中腹に行ったとき、ガイドのノルブーさんが真っ白な雪を頂くマトー山を指さして言いました。
「どのあたりまであったんですか?」
「あのあたりまではいつも残っていたよ」
当たり前のようにあった根雪がどんどん減っている、という事実。 根雪の後退のことは情報として知っていました。けれど、それを目の当たりにした私は心の底から愕然としました。
標高4500mの放牧地点。背後に見えるのが標高6000mのマトー山。
夏になると、ラダックの遊牧民たちは、この日もそうだったように、山の中腹まで山羊たちを連れて行って草を食べさせます。夏でも真っ白な雪を頂く山々の雄大な姿。そんな風景が素晴らしく、観光客たちはここを最後の桃源郷と呼びます。
根雪がゆっくりと地下に沁み込み、家畜たちに必要な草を養う。
「このままでは、そんな当たり前のことができなくなっていく」とノルブーさんは言います。
「大人たちが種まきの時期に水をめぐってケンカするのがイヤだ」と村の子供たちから聞きました。
これらの原因は、地球温暖化です。
そこで暮らす彼らは二酸化炭素をほとんど排出しない暮らしをしている。けれど、都会に住み、二酸化炭素を排出する暮らしをしている私たちは、この地で起きていることを知りません。
本当にそれでいいのだろうか。
それが、フォレストアートフェスティバルの「種」のような、はじまりのストーリーです。