はじめまして。
特定非営利活動法人パルシック、東ティモール事務所の桑原真菜実と申します。
パルシックで「ふりかけ・栄養事業」を担当しています。
私が初めて東ティモールを訪れたのは青年海外協力隊として派遣された2018年7月。それ以前は日本で病院の管理栄養士として患者さんの栄養管理、栄養指導に従事していました。
私が栄養士を目指すきっかけとなったのは、栄養士として働く母の姿を見ていたからです。栄養士として、高齢者施設や保育園、行政など、その時の生活スタイルに合わせて、資格を活かした仕事をしている様子を見て、幅広い分野で活躍できることに魅力を感じました。そして、大学に在学中に青年海外協力隊を知り、栄養士の働くフィールドの一つに海外があると気づき、大学卒業後実務経験を経て、協力隊へ参加しました。協力隊では保健省栄養課に配属となり、病院給食の改善や国立病院で栄養指導などに取り組みました。
しかし、2020年3月、新型コロナウイルスの影響で任期途中で帰国することに・・・。そんなとき、パルシックの「ふりかけ・栄養事業」を知り、もう一度東ティモールで自分の専門性を活かして活動したいと思い、この事業に参加しました。
今年で独立20年の新しい国、東ティモール。子どもたちの発育不全が問題に
オーストラリアの北、インドネシアの東側に位置する東ティモールは、ティモール島の東半分を領土とする人口130万人弱の小さな島国です。長いポルトガルによる植民地支配と、隣国インドネシアによる軍事支配を経て、2002年に独立したまだ新しい国です。
人口の半数以上が19歳以下という若さとエネルギーのあふれる国なのですが、独立から20年、保健分野への取り組みで、妊産婦や5歳未満の乳幼児の死亡率は大きく改善されたものの、多くの子どもや母親たちの栄養状態が問題となってきました。2020年に実施された調査では、5歳未満の子どもの47%が発育阻害の状態にあり、この数字は世界平均の22%と比較すると大変高く、ASEAN(アセアン)地域でももっとも高い数字となっています。
「ふりかけ」で、子どもたちの栄養改善を目指す「ふりかけ・栄養事業」
東ティモールは人口の7割が農村地域に暮らし、主に主食の米やトウモロコシ、イモ類などを栽培する自給農業で暮らしを立てています。限られた現金収入は油や塩など輸入品を買うために使い、必要なたんぱく源を購入することはあまりできません。あるものをある時にお腹いっぱい食べ、炭水化物に偏った食生活を送っています。
パルシックは、東ティモールの人たちが身近な食材を上手に使って栄養状態を改善できるようになることを目指して、2019年から3年間、外務省のNGO連携無償資金の助成を受け「ふりかけ・栄養事業」を実施してきました。特に発育阻害の子どもの割合が高い山間地域に、東ティモールの沿岸部で取れる魚を加工したカルシウム豊富な食材を届けるため、東ティモール産「ふりかけ」を首都ディリの対岸にあるアタウロ島の漁村の女性と生産し、学校給食での普及に取り組んできました。