本作は宗教2世の方へ取材を重ね書き上げた映画です。監督は新興宗教で洗脳された経験を持つ平田うらら。「もう二度と心に地獄を抱える人を作りたくない」その想いで映画を作り、宗教的虐待や洗脳された者のリアルな姿を社会に届けます。
自己紹介
立教大学現代心理学部映像身体学科四年生の平田うららと申します。四年間学生をしながら、ドラマや映画の制作部として経験を積み、この度監督としてデビューいたしました。
私自身、学生時代にある新興宗教に洗脳された経験を持ちます。洗脳が解けた今、当時の記録を見返すと、文のところどころに、人の弱みに悪意なく漬けこむ信者の 【正義と言う名の狂気】が感じられました。怖いのがこの悪意のなさです。悪意がないからこそ宗教的虐待を含め、負の連鎖が止まらない。そして彼らは否定されると【迫害の試練と捉える】ので、むしろ頑なになり信仰を強くする。だから止まることがないのです。
【これが他の虐待とは違う宗教的虐待の独自の怖さ】なのです。
この映画では、その宗教的虐待の独自の怖さ、そして被害にあった宗教二世の方の生活を、実際に見てきた私が丁寧に描いていきます。もちろん本作は、宗教的、政治的な意図は一切ありません。しかしながら私は本作を 、【宗教的虐待のリアルを届ける社会的意義を有した作品】だと考えています。そして宗教2世は、その問題だけではなくて、ヤングケアラーだったり、貧困問題だったりその他の問題も伴っています。このような事実も知られてないからこそ、この作品で伝えたい。また、知らせることで、少しでも被害者を減らしたい。さらに、1人でも多くの人にこの物語を、問題を、届けたいと考えています。
企画意図
宗教2世の方に取材をさせて頂く中で見つけた、 3つの共通点が私を突き動かし、この映画を企画した意図になります。
1つ目は 「心に地獄を抱えている」ということです。洗脳が解けてもなお、失った過去は取り戻せない、それが心を苦しめているという方に何人も出会いました。私はそんな人を減らしていきたいと強く思いました。
私はもう二度と 【心に地獄を抱える人を作りたくない】という想いで企画しています。
2つ目は 「宗教的虐待に加えほかの被害も受けている方が多い」ということです。洗脳による虐待のほか、性的羞恥心を与える体罰、ネグレクト、そしてヤングケアラー、大体の方がこれらの被害も伴って受けていました。この現実を知っている方はどれほどいるのでしょうか。この現実を私は届けていく必要があると思い、映画化することに致しました。
3つ目が 「宗教2世の苦しみを世間に届けたいと思っている方が非常に多い」ことです。過去を思い出すのは辛いし、テレビの取材で心無い聞き方をされるのも辛い。でもこの問題を届けていきたいと必死に戦っている方が非常に多い印象がありました。実際に私は宗教2世の方からこんなメールを頂きました。
私は彼らの想いに触れ、この問題を映画で後世まで残し、 後世の社会にも宗教的虐待を問題提起していく必要があると確信しました。ニュースなどは話題性が大事になります。一時的に騒がれても宗教2世の問題は扱われなくなる日が来ます。でも
「映画なら何百年と残すことができる。 後世にこの問題を知らせる事で、生きて苦しんだ方々の歴史を風化させず学びに変えることができる」
私はそこに一番の価値を感じ、映画化することに致しました。そして私自身洗脳の中で大切な友人を失ったり沢山の喪失がありました。こういう想いをする人を減らしたいです。