2021年春に北海道札幌国際情報高校に入学した地下(ぢげ)綾音選手は、スノーボードアルペン19/20シーズンにSAJ(全日本スキー連盟)国内強化指定選手に選ばれた期待の新星。学校から帰るとスキー場へ向かい、夜遅くまで練習に励む日々を送っています。
スノーボードを始めたのは小学2年生の時。最初は思い通りに滑れず、早くみんなと一緒に滑りたい一心で練習に向き合っていました。3年生になると、地元のスノーボードスクールで習い始め、更にのめり込んでいきました。初めて大会に出場したのもこのころ。競技の面白さにハマると、「スノーボード検定1級に合格したい」「大会で優勝したい」と、目標を立てて練習するようになりました。
「今になって振り返ってみると、練習することや努力することの楽しさ、そこから得られる達成感や喜び、悔しさなど、競技をする上で大切な感情が、自分でも気づかないうちに芽生えていたんです」
4年生の時には、ゲート(ポール)を立てての滑走を初体験。フリースタイルしか経験がなかった彼女が、「私がやりたいのはアルペンだ!」と直感した瞬間でした。5年生になると、スノーボードアルペンの練習を開始。登別を拠点とするスノーボードチーム「SIG-NATURE」に所属して本腰を入れることに。19年からは、世界トップをめざす選手を対象とした「&tomoka」にも所属しています。
そして20年10月、FIS(国際スキー連盟)レースの参加条件である15歳の誕生日を迎え、「ようやく世界に挑戦するスタートラインに立てた」と地下選手。21年2月には初のFISレースとなった北海道選手権でGS(ジャイアントスラローム)8位となり、続くSAJ全日本ジュニアスキー選手権大会ではGS5位(中学生の部で優勝)。そしてシーズン最後の大会となるFIS全日本スキー選手権大会に臨み、PGS(パラレルジャイアントスラローム)で11位でした。
「今までの自分はただスノーボードを楽しんで滑っていましたが、今シーズンは結果を意識し過ぎるあまり、絶対にミスをしてはいけないと自分でも気づかないうちに強く思い過ぎてしまっていたと思います。それは初めての経験でした。レース直後は結果を受け入れることができませんでしたが、今考えてみると、それがその時の実力だったんだと思っています」
初めてのFISレースは、世界で戦うためにこれから身につけなければいけないことを肌で感じるレースとなりました。
20年に始めたクラウドファンディングでは、活動報告として大会結果やレースを通じて感じたことをつづってきました。文章を考えることで自分の考えや思いを整理でき、また自分の活動報告に対して、様々な方からエールをもらえたことはなによりもうれしかったと言います。「結果がいい時だけじゃなくて、思うような結果を残せなかった時も、『次頑張ろう!』などと応援していただけて、私も気持ちを切り替えて頑張ろうと前を向くことができました」