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奈良文化財研究所です。
突然ですが、皆様はこれまでに「碑文」を目にしたことがありますか?
お寺や神社、観光地、あるいは周りに何も無いようなところでも、ぽつんとそびえ立つ石造物を見かけたことのある方、そこに何か刻まれている文字「碑文」を”見た”ことがある方は多いのではないでしょうか。
それでは「碑文」を”読んだ”ことがある方はどれほどおられますでしょうか?
石造物は当然ながら紙よりも丈夫で、100年、長ければ1000年以上屋外に立っていても刻まれた碑文を読むことができます。しかし、いざ読もうとすると風化で削れているなどの理由で簡単に読むことはできません。一目で読むことができないので、見たことはあっても書いてある内容を読んで知っている方は少ないのではないでしょうか。
石造物に刻まれた碑文は、何らかの理由で先祖が未来に向けて残したかったメッセージです。このメッセージを読み解くことで、歴史的意義のある発見や私たちの生活に直結するような新たな発見を得たり、災害などの危険を回避できる可能性がある……そんな石造物は私たちにとってもっとも身近な文化財のひとつです。
今回開発するアプリ「ひかり拓本」を多くの皆様にお届けし、活用いただくことで、先祖の想いを身近に感じていただければと思います。
将来的には、皆様による過去からのメッセージの発見をデータベースに残していくことで、読み解いたメッセージを次世代、さらにその先へと、後世に繋いでいければと思っています。データベース化に向けては、アプリ「ひかり拓本」を活用した撮影にご協力いただく皆様や、石造物が残される地域との連携を綿密に行う必要があるため、すぐに実装できるわけではありません。より長期的な挑戦になります。
まずは、この「ひかり拓本」をたくさんの方々に知っていただき、ご利用いただくことが本プロジェクトの第一歩です。奈良文化財研究所は、今年で70周年を迎えます。この節目を迎えるにあたり、私たちの取り組みにご賛同いただいた皆様には、ぜひご寄付を通して私たちの仲間となっていただき、過去からのメッセージを後世に繋ぐ取り組みを、ともに進めていければ嬉しいです。